血統について
地域ごとの血統による傾向について非常に乱暴にまとめます
・欧州血統
スタミナがある
パワーがある
(下級馬は特に)スピードに劣る
仕上がりが遅い
ヨーロッパの競馬場は日本のそれと比べてずっと芝が深くて柔らかいので、たとえば同じ2400mのレースでも10秒以上勝ちタイムが遅かったりする事もザラにあります
芝2400mのレース、と一口にいっても必要とされる適正はまったく別のものとなるわけで、同じ10頭で東京とエプソムで2レース行えば全く違う着順になる事も大いに考えられるでしょう
一線級の馬は別格としても、ゴリゴリの欧州血統馬は日本の固い芝レースではスピードについていけず自身の高いスタミナを活かせない事も多いです
このタイプで一番有名なのはサドラーズウェルズ系でしょう
Sadler's Wells-Galileo-Frankelと続いている父系が有名ですね
ガリレオまではいかにも欧州血統な感じで日本ではスピード不足な印象でしたが、フランケル産駒は今のところ日本への適正も高く初年度からソウルスターリングを出しています
・米国血統
スピードがある
ダートに向いている
ダートに向いている所を利用してパワーのいる芝も強い
仕上がりが速い
成長力がない
一本調子なスピードでレース展開に左右されやすい
持続的なスピードというか、瞬発力で勝負するタイプではない
アメリカの競馬は日本・欧州と違いメインがダートです、ダートコースが外で内に芝があります
当然アメリカで流行するのはダートに強い、スピードとパワーを兼ね備えた馬になります
また、欧州と比べ大レースが早い時期からある為、仕上がりの速さも重要なので早熟気味に子を出す事も求められます
一方、ゴリゴリの米国血統に偏ってしまうと、日本においてはスピードはあるものの持続力が足らず自身の能力に任せて走って、うまくいけば勝てる、みたいな安定感のない走りをする馬になりがちでもあります
・日本血統
瞬発力がある
とにかく瞬発力がある
最上位馬はスローペースでも最後方から指しきれたりする
とにかく瞬発力がある
サンデーサイレンス系の事である
現代における日本血統とは、サンデーサイレンス直系の事を指すと言い切ってもいいでしょう
サンデーサイレンス自身は米国で走った馬ですが、日本でしか仔を成しておらず、子孫の広がり方からして日本血統のディファクトスタンダードとなっていると言えると思います
近年日本の馬場は固くなる一方で、上がり3ハロン32秒台というレースも別に珍しくありません
が、上がり32秒台で回ってこれる馬の大半がサンデー系(というかディープ産駒)という事実もあり、今の硬い馬場に異様にフィットしている血統といえるのでしょう
サンデー以外の過去の土着血統は現在既に虫の息で、この先いつまで父系を伸ばすことができるのかわからないような物しかありませんね、残念ながら
ここで一例を出すと
歴代最多獲得賞金馬テイエムオペラオーは
こういう血統ですね(リンク)
父オペラハウスはサドラーズウェルズ系で、上半分を見ると「重たそう」なイメージの血統ですが、母父ブラッシンググルームも米国の短距離馬、母ワンスウェドのこれまでの産駒も短距離を得意とする馬も多く、ナスルーラのクロスも含め、短距離スピード偏重型の繁殖牝馬と言えそうです
だからこそ、重たさがあるものの、スタミナとパワーを伝えることのできるサドラー系種牡馬オペラハウスを付け、大成功を収めた例といえるのではないでしょうか